SYS.3 のアーキテクチャ設計に関する Automotive SPICE v4.0 での主要変更点について
Automotive SPICE v4.0 のシステムアーキテクチャ設計プロセス(SYS.3 )に関して、Automotive SPICE v3.1 から SYS.3 の BP 構成やアウトプット成果物のイメージが変更されたので、その変化点について解説します。1.SYS.3 の基本プラクティス(BP)について Automotive SPICE v3.1 の SYS.3 のシステムアーキテクチャ作成に関する BP は以下の4個で構成されていました。BP1:システムアーキテクチャ設計書の作成BP2:システム要件の割り当てBP3:システムエレメントのインタフェースの定義BP4:動的な振る舞いの記述 ここでは BP1 がアーキテクチャ全体について記述している一方で、BP2、BP3、BP4 はアーキテクチャの側面を記述しています。 これによって、例えば BP1 が達成と評価されたにももかかわらず BP3 が未達成と評価された場合、BP1 達成と矛盾するため、混乱を招く恐れがありました。 上記混乱を防止するため、Automotive SPICE v4.0 のシステムアーキテクチャ作成に関する BP は2個に集約されました。BP1:システムアーキテクチャの静的な側面の仕様化BP2:システムアーキテクチャの動的な側面の仕様化2.SYS.3 の作業成果物(Automotuve SPICE v3.1)と情報項目(Automotive SPICE v4.0)について Automotive SPICE v3.1 ではエンジニアリング領域は SYS と SWE だけでしたので、システムアーキテクチャ設計のアウトプットである「作業成果物(04-06:システムアーキテクチャ設計書)」はシステムとソフトウェアを中心に記述されていました。 参考までに、Automotive SPICE v3.1 の作業成果物特性(04-06:システムアーキテクチャ設計書、17-08 インタフェース要件仕様書)を記載しておきます。 一方、Automotive SPICE v.4.0 では、エンジニアリング領域が SYS、SWE、HWE、MLE に拡張されたため、システムアーキテクチャ設計のアウトプットも、ハードウェアに関する、電気的、機械的(メカニカル)インタフェースの項目が追加されました。 参考までに、Automotive SPICE v4.0 の情報項目特性(04-06:システムアーキテクチャ)を記載します。 作業成果物と情報項目の違いについては、別コラムを参照して下さい 情報項目(04-06:システムアーキテクチャ)に基づいて、SWE 領域では情報項目(04-04:ソフトウェアアーキテクチャ)に、HWE 領域では情報項目(04-52:ハードウェアアーキテクチャ)に各々ブレークダウンして記載されています。 Automotive SPICE v3.1 の作業成果物であるインタフェース要件仕様書の作業成果物特性は、Automotive SPICE v4.0 ではシステムアーキテクチャの情報項目に記載されました。 MLE 領域に関するアーキテクチャは、Automotive SPICE v.4.0 では情報項目(04-51:ML アーキテクチャ)で追加されましたが、ML アーキテクチャはソフトウェアアーキテクチャのサブセットであるため、情報項目(04-06:システムアーキテクチャ)には記載されていません。Automotive SPICE v4.0 ではアーキテクチャに関する基本プラクティスが集約されたことでシンプル化され、理解し易くなったと思います。また、HWE 追加に伴ってシステムアーキテクチャの情報項目にハードウェアに関する項目が詳細に記載されたことで、SYS から SWE と HWE へとアーキテクチャ設計をブレークダウンする際に、これらの情報項目の記述内容はガイドラインとして活用できると思います。ご不明な点等あれば、弊社までお問合せください。 海農公宏